マイナス47度のとある日

こちらで初めて出会う日本人同士で、まず話題になるのはどこのご出身ですか?のラリーである。北海道ですと答えると、「では寒さに慣れてますね」などと言われるが、いやいやいやいやいやいや。滅相もない。ここで「はい」なんて言えたもんじゃありません。それはあまりにも大胆すぎるハッタリ。さすがの北海道もここまでは寒くなりません。旭川や帯広はなるのかな。内陸だけに。その辺は知らないけれど、札幌は!なりません!

これを前提といたしまして、マイナス47度って言う日があったんです。カナダ内陸といえど、流石に一ヶ月続く訳ではないのですが、まあたまに数日あります。なんかね、車の排気ガスがめちゃめちゃ可視化されるんですよ。気温が下がると。47まで行っちゃうと、空気全体の何某かが凍るんでしょうね、視界がぼわーっとするんです。そんな中、絶対に車のトラブルが起きてほしくない訳です。凍死に直結ですから。でもうっかりしてしまうのが、タイヤの空気圧です。これがバカ下がる訳です。この日も仕事帰り、車のエンジンを10分ほど温めておいて「さ!頑張って一気に帰るまい!」と気合を入れ走り出したところ、警告ランプがつく訳です。右後ろのタイヤの空気圧がやばいレベルで低いよと。ああー!こう言う時に!!!!というべきか、こう時だからこそ、というべきか!!!!

ちょっと出たところで慌ててUターンして、仕事場近くのガソリンスタンドに併設されている、タイヤの空気入れの機械に横付け。手袋も外せないようと眉を八の字にし、そのタイヤの空気入れるバルブ?専門用語わかんないやのキャップをねじねじして外す訳です。これが凍りついてたってなってたら、泣きが入ります。でもこの時は大丈夫でした。神様ありがとうございます!こうして準備万端にしてから、タイヤ空気用のコンプレッサーにくっついているコイン投入口にお金を入れなければいけません。時間制なので入れてからモタモタねじねじしている時間はないのです。そこではて?と思いました。空気入れのホースはちょっと前まで、普通の細めのいわゆる水やりホース的な材質の真っ直ぐのものだったはずです。ところがこの時は、くるくるコイル状のものになっておりました。多分ね、真っ直ぐのやつは、使った後ちゃんと綺麗に巻き取らんと、その辺にほいっとするマナーわろし人が一定数おるんでしょうね。どこの国でもそうです。この新システムならすいっとそのまま伸ばし、使い終わったらパッと手を離せば、自動的にシュッと収まってくれる、そのようにここのオーナーさんはお考えになられたのでしょう。そう、普段の気温ならね。

先日撮った写真なので、マシな素材のものに変わっておりました。クレームがあったんでしょうね。

この日は➖47度な訳です。視界はぼんやりとしています。シリコンでできているのか素材は詳しくはわかりませんが、コイルもカチカチな訳です。伸びないのです。問題のタイヤは後方、コインはもう入れてしまった!いやいや私に無駄に脂肪ついてんじゃないわよ、力は!あるんだから!っつって、万力の力を込めて引き伸ばし、空気入れバルブに、プルプルしながら装着!みなさん自転車の空気入れとかやられた方ならお分かりと思いますが、あれって結構角度がシビアですよね?ちゃんとはまってないとスカーって中に入らずに横から抜けるんですよ。コイル伸ばす力で精一杯で、そっちの精度を保つ余裕もなく、無常にもコンプレッサーが作動する時間は刻々と過ぎてゆく。これは手袋を外さねばできない士業。外は信じられない位寒いのに、体は嫌な汗をかく。脇とか背中とか。普段ならゾロゾロとスタバから出てくる、手伝ってくれそうな通行人などいるはずもなく。ああ、神は私をお見限りに!と天を仰ぎかけたその時に!

腹肉。

そうです、私には立派な腹肉があることに気づいたのです。ハレーーー!と暖かな黄色い光とラッパを吹きながら飛び交う天使たちが見えた気がしました。

一番厚いダウンコートを物ともせず、伸ばしたコイルをがっしりと腹肉にはさみ(それほどまでに立派な腹肉!)、おかげで手はきっちりと空気バルブを結合させることに成功し、時間ギリギリのところであるべき圧まで上げることに成功したのです!他のタイヤ圧もいつもより下がっていたので、コインは追加し、残りの3タイヤにも空気入れたのですが、コツを掴んだので余裕を持って入れ終わったのです。

ああ、神様ありがとうございます!(2度目)この私に第三の手となりうる立派な腹肉を与えたもうて。

結論。寒い地方で体重オーバー気味の方が多いのは、寒さに耐えうるためだけじゃない。いざという時に何某かの役に立つのだと!(他の良い事例は知らん)

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